逆流性食道炎というと、
胸やけや喉の違和感、吐き気やゲップといった症状を思い浮かべる方が多いかもしれません。
しかし実はこの病気、
思いもよらない“呼吸器トラブル”の引き金になっているケースもあるのです。

逆流性食道炎が原因で「咳」が出る?
慢性的な咳に悩まされて病院に行き、「喘息や気管支炎だと思っていたら、実は逆流性食道炎だった」
──そんな話は珍しくありません。
なぜ胃の病気で咳が出るのか?
その理由は、“咳のセンサー(受容体)”が喉や気管支だけでなく、食道にもあるからです。
胃酸が食道へ逆流すると、その酸が食道の受容体を刺激し、反射的に咳が出てしまう。
これが、逆流性食道炎による咳のメカニズムです。
見過ごせない「誤嚥性肺炎」のリスク
そしてもうひとつ、見逃してはいけないのが
「誤嚥性肺炎」との関係です。
誤嚥性肺炎とは、唾液や食べ物、胃酸などが誤って気管に入ってしまい、
肺で炎症を起こしてしまう病気です。特に高齢者に多く、
日本ではがんに次ぐ死亡原因の第2位とも言われています。
逆流性食道炎のある方が誤嚥性肺炎を発症するリスクが高い理由は、
胃酸の逆流が気道に入ってしまうことで、
寝ている間に知らず知らずのうちに“誤嚥”を引き起こしてしまうからです。
誤嚥性肺炎が起こりやすいのは「夜」
誤嚥性肺炎が起こるタイミングとして圧倒的に多いのが「就寝中」。
寝ている間に逆流した胃酸や、口の中にたまった唾液などが
そのまま喉の奥から気道へ入ってしまい、肺に到達してしまうことで発症します。
そのため、就寝時の“姿勢”がとても重要になるのです。
寝る前に気をつけたい2つのポイント
誤嚥性肺炎のリスクを減らすために、今日からすぐ実践できることが2つあります。
① 食後すぐに横にならない
食後すぐは胃の中に食べ物や胃酸がたまっている状態です。
このタイミングで横になると、重力が働かず、
胃の内容物が食道へ逆流しやすくなってしまいます。
最低でも食後1時間は横にならず、
座ってゆったり過ごすのが理想です。
② 就寝時は“上半身ごと”を高くする
もうひとつ重要なのが、寝る姿勢です。
「枕を高くする」だけでは不十分どころか、逆に首が折れ曲がって
呼吸を妨げてしまい、無呼吸のリスクが高まる可能性もあります。
理想は、上半身全体をゆるやかに傾斜させて眠ること。
そのためには、次のような工夫が効果的です:
◎リクライニングベッドを使う
◎傾斜付きのウエッジピロー(傾斜枕)を使う
◎マットレスの上に傾斜サポートクッションを挟む
傾斜は10〜15度前後が理想とされ、
胃と食道の高さに差をつけることで、逆流を物理的に防ぐ効果が期待できます。

まとめ|眠っている間こそ、予防のゴールデンタイム
逆流性食道炎は命にかかわる病気ではありませんが、
それが引き金となって起こる誤嚥性肺炎は、高齢者にとって非常に重大なリスクです。
だからこそ、「眠る姿勢を整える」ことは、
単なる不快感の軽減にとどまらず、
将来的な健康リスクを下げるための大切なステップとなります。
寝具や習慣をほんの少し見直すだけで、
リスクは確実に下げられます。
ぜひ今夜から、“眠り方”に目を向けてみてください。
